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23回忌 その1
先週、26歳で夭逝した従兄の23回忌があった。

僕は、実家に帰るために、東名を飛ばす。1万キロを過ぎたあたりから更に調子のよくなってきたシルキーシックスはいつもながら心地よいサウンドとスムーズな加速を与えてくれる。

前日の夜は新入社員歓迎会で、いつものように調子に乗ってたくさんのビールを飲んだ。
そして、次の日の帰省を理由に帰ろうとした僕を新入社員の“キャバクラに連れて行ってください”という一途な瞳が遮り、結局深夜の帰宅となったのだった。

それでもなんとか8時前には黒いスーツをラゲッジルームに押し込んで自宅を後にし、
予想以上に空いている東名下りを走り続けた。

御殿場手前の右コースは、速度を上げるにつれて楽しいワインディングになる昔から大好きな区間だ、ここを気分良く走ることが帰省する一つの楽しみになっているくらい。
この日もコンディションはよく、満足な走りができたのだった。
そして、富士川SAまで走り一息。いつもは日本坂までノンストップで走るのだけど、スタバのコーヒーが飲みたくなったので、富士川SAに止まることにしたのだ。


テラスに座り、アイスコーヒーを飲んだ。富士山が見えたら最高な気分だったのに、残念ながら見えるのは雲ばかり、仕方がないので富士山の見える方向を向いていつもは飲まないアイスコーヒーを見つめた。

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菊川から事故渋滞8kmの表示。そして渋滞通過所要時間は1時間。

どうしようかとダッシュボードの地図を見つめていると、御前崎の文字が見えた。



そうだ、御前崎へ行こう。海を見たら気分がよくなるに違いない。

そして、僕は相良牧の原から東名を降り、南に向かうことにした。

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海に近くなるにつれ、風車が見えてきた。大きな風車がぐるぐる羽を回している。
若い頃、御前崎にはたまに海を見に来たけれど、こんな風車はなかった。
茶畑に立つ風車達は少し不思議な風景を作り出していた。



海を見たいと思ったものの、記憶を辿れば御前崎には岬の先端しか海沿いの道はなく、
地図の上で海沿いを走る150号は何もない田舎道そのもので、
点々と大きな駐車場を持つラーメン屋とのどかな風景画広がるだけだった。

それでも、車を走らせていると、
若い頃の思い出がなんとなく脳裏に浮かび、
この道はどの女の子と来た道だったのか思い出せない自分をおかしく思った


そういえば、従兄が急死したあの頃は
自分も夭逝するのではないかとなんとなく思っていた
でも、その一方で 僕は彼の分まで生きることが使命なのだと
自分の生きる意義を見出そうとしていた。

あれから23年が経ち
いつの間にか中年になった僕は
そんな気持ちをすっかり忘れてしまっていたことに気づいた。


どこまでも一直線な150号はいろんなことを考えさせるのだった。




実家まで設定したNAVIは東名に戻るように何度もルート検索を行い、
うるさいくらいに右折を要求してくる。
でも、ここまで来たらやはり海を見ないとな、と思い。
僕は直進を続ける。



めざすのは、、そう 浜名バイパス。



あの空まで伸びる道路に向かう爽快感と頂上を越えると見える太平洋の美しさは、
日本一すばらしい道路だと四半世紀以上思い続けている。
そして、今日は天気が良い。
きっと最高に違いない。


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そして、、、期待通りの太平洋が僕の左を走り。
空への道は相変わらずで、これを見るだけでも実家に帰る意味があるのだと思うのだった。



汐見坂で母に電話をし、
渋滞を避けるために遠回りをしたこと、
到着が遅れることを詫び、完璧に青い海をしばらく見つめていた。

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実家に着いたのは、自宅を出てから5時間後だった。
いつもより2時間余分に走ったわけだけど、
それはいつもの2時間では得られないものだったに違いない。



駐車場に車を入れると、母がやって来て


食事に行こう


と言った。

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人気のランチの店は
僕の感傷ドライブのおかげでピーク時間を過ぎていて
すんなり 入ることができた。

久しぶりの母とのランチデートは
おだやかな日に包まれた 
日本庭園を見ながらのものとなった。


つづく
by lasvegasmasa22 | 2010-06-09 16:06 | 生活
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